病院へ行った
病棟の受付の行列は、みんなの纏ってるオーラが当たり前だけど暗くて
ご焼香の列に見えて、みんな気が早いよってめちゃくちゃ不謹慎なことを思っていた
ここにいる人はだいたい生きてるし
久しぶりに会う親戚、私はみんなの名前を覚えてはいられなかったのに、みんな私の名前は覚えていた
申し訳ない気分だった
部活や学校が忙しいことを言い訳に、集まりから逃げてきた自分が急に恥ずかしくなった
小さい頃、会うといつも酔っ払っていたおじさんは髪の毛を引っ張ってくるので苦手だった。大きな声でがっはっはって笑うおじさんの元気な姿しか記憶にないから、座ってるのもやっとな、喋るのだって小さな声でちょっとしかだせない姿とのギャップの衝撃がすごかった。
筋肉が落ちて細くなった足を覆っている、明らかにサイズのあっていない靴下
透析のせいで真紫に変色した左腕
その場にいた中で1番若かった私は、ここにいるうちの、何人のこういう姿を見なければならないのか、ちょっとだけ考えてやめた
見届けたくないし、自信が無い
直面してから考えるから放っておいて欲しい
病院から帰ってくる途中、父方の祖母が肺炎で搬送されたって連絡が来た
もういいって
そんなに一気に来なくていいよ
みんなもっと長生きしようよ
それでも私の人生は私の人生みたいで
今までふたつ並んでいたコップとか歯ブラシとか、コンタクトケースとか
どんどん無くなっていくことだけで、ちょっとだけ感傷的になっちゃえるみたいです